注文住宅でつくる「ニッチ」と「飾り棚」のある暮らし


ニッチとは?壁の一部をへこませてつくる便利な収納スペース

注文住宅の打ち合わせをしていると、「ニッチはどうしますか?」と聞かれることがあります。私も家づくりを始めたころは、ニッチという言葉を知らず、「それって何だろう?」と思った一人です。

ニッチとは、壁の一部をくぼませてつくる小さなスペースのことです。壁から棚が飛び出すのではなく、壁の厚みを利用して内側に収納や飾り棚をつくるイメージですね。ちょっとした小物を置いたり、スイッチやリモコンをまとめたり、インテリアのアクセントにしたりと、さまざまな使い方があります。

実際に家づくりを経験して感じたのは、ニッチは大きな収納家具ほど目立たないけれど、暮らしの中で意外と便利な存在だということです。例えば、玄関に小さな飾り棚があるだけで、季節の雑貨を飾る楽しみができます。リビングなら、家族が毎日使うリモコンや小物の置き場所にもなります。

ただし、ニッチは壁をくぼませればどこにでもつくれるわけではありません。壁の内部には柱や筋交い、配線、配管などが通っていることがあります。設置する場所や大きさには制約があるため、間取りを考える段階から相談しておくことが大切です。

注文住宅で取り入れたいニッチの種類と使い方

ニッチにはいくつかの種類があり、設置する場所によって便利な使い方も変わります。見た目だけで決めるのではなく、そこで何をしたいのかを考えると、暮らしに合ったニッチをつくりやすくなります。

玄関ニッチ:お気に入りの小物でお出迎え

玄関は、家族が毎日出入りする場所であり、お客さんが最初に目にする空間でもあります。玄関にニッチをつくると、季節の花や小さな置物、お気に入りの雑貨などを飾るスペースになります。

例えば、春には明るい色の花を飾り、冬には季節を感じる小物を置くなど、ちょっとした模様替えを楽しめます。玄関は収納家具や靴箱などで壁面が埋まりやすい場所ですが、壁の一部を利用するニッチなら、通路を狭くせずに飾る場所をつくれるのもうれしいところです。

ただし、玄関ニッチは奥行きを深くしすぎないこともポイントです。奥に置いた小物が見えにくくなったり、掃除がしにくくなったりすることがあります。飾りたい物の大きさを考えながら、使いやすい寸法を設計士さんと相談しましょう。

リモコンニッチ:生活感の出やすい設備をすっきりまとめる

個人的に実用性が高いと感じるのが、リモコンニッチです。注文住宅では、給湯器や床暖房、インターホンなど、壁に取り付ける操作パネルがいくつかあります。それぞれを別々の場所に設置すると、壁に機器が並んでしまい、少し雑然とした印象になることもあります。

そこで、これらの操作パネルを一か所にまとめて、壁をくぼませたニッチの中に配置する方法があります。壁からの出っ張りを抑えられるので、見た目がすっきりしますし、家族みんなが操作する場所を覚えやすくなるのもメリットです。

我が家でも、家族がよく使う設備の操作場所は、できるだけ分かりやすくしておきたいと考えました。特に子どもがいると、照明やインターホンなどを自分で操作する機会もあります。家族の目線に合った高さにまとめておくと、日常の小さな使いやすさにつながります。

ただし、操作パネルの大きさや配線の位置によって必要なスペースは変わります。後から機器を追加する可能性も考えて、設計段階で配置を確認しておくと安心です。

キッチンニッチ:調味料や小物の定位置をつくる

キッチンでは、調味料やよく使う小物を置くスペースとしてニッチを活用できます。料理中は手を止めずに必要な物を取り出したいので、使う場所の近くに収納があると便利ですよね。

例えば、コンロや作業台の近くに小さなニッチを設ければ、よく使う調味料やキッチン小物をまとめておけます。カウンターの上に物を並べずに済むため、作業スペースを広く使いやすくなるのも魅力です。

一方で、コンロの近くは油が飛びやすく、調理中の汚れも付きやすい場所です。ニッチの中に物を置きっぱなしにすると、掃除の手間が増えることもあります。設置する位置や仕上げ材を考え、無理なくお手入れできるようにしておきましょう。

リビングニッチ:家族が使う小物や飾りをまとめる

リビングは家族が集まる場所なので、いつの間にか小物が増えてしまいがちです。テレビやエアコンのリモコン、スマートフォンの充電用品、子どもの小さなおもちゃなど、置き場所に困る物もありますよね。

そんなとき、リビングの壁にニッチを設けておくと、細かな物の定位置をつくれます。家族で使う物をまとめておけば、「リモコンどこに置いた?」という小さな探し物も減らせそうです。

また、リビングの一角に飾り棚としてニッチをつくる方法もあります。家族写真や旅行先で買った雑貨などを飾れば、家族らしさを感じられる空間になります。収納として使うのか、インテリアとして楽しむのかによって、棚の高さや奥行きを変えると使いやすくなります。

ニッチをつくるときに気を付けたいこと

設置できない壁や場所がある

ニッチは壁の内部を利用するため、どの壁にも自由につくれるわけではありません。柱や筋交いなど、建物を支えるために必要な構造材が入っている場所では、設置が難しい場合があります。また、電気配線や給排水管などが通っている場所も確認が必要です。

特に、注文住宅では間取りが決まってからニッチを追加したくなることもありますが、壁の内部の構造によっては希望どおりにできないことがあります。打ち合わせの早い段階で、どの壁にどんなニッチを設けたいのか伝えておくと、設計に反映してもらいやすくなります。

何を置くか決めずにつくると使いにくい

ニッチで意外とありがちな失敗が、設置すること自体が目的になってしまうことです。おしゃれな施工例を見て「我が家にも欲しい!」と思っても、何を置くのか決まっていないと、完成後に使い道がなくなってしまうことがあります。

例えば、飾り棚としてつくったものの、実際には子どものおもちゃや郵便物を置く場所になってしまったり、奥行きが足りずに飾りたい物が入らなかったりすることも考えられます。

反対に、リモコンをまとめる目的でつくったのに、操作する人の目線より高い位置に配置されてしまうと、毎日の操作が少し不便になります。ニッチをつくるときは、完成後にどんな物を置き、誰がどのように使うのかまで具体的にイメージしておきましょう。

掃除やお手入れのしやすさも考える

壁の中にあるニッチは、棚の上にほこりがたまりやすいことがあります。特に奥行きが深いものや、細かな飾りをたくさん置くタイプは、掃除のときに一つずつ物を動かさなければなりません。

我が家も、家づくりのときには見た目や収納量に目が向きがちでしたが、実際に暮らし始めると、掃除のしやすさが毎日の快適さに関係していると感じます。小さなスペースでも、使い続けるうちにお手入れが負担になることはあります。

キッチンのように汚れやすい場所なら、拭き取りやすい仕上げにすることも大切です。飾り棚なら、物を詰め込みすぎず、手が届きやすい大きさにしておくと管理しやすくなります。

ニッチは暮らしに合わせて計画することが大切

ニッチは、壁の厚みを利用して収納や飾りのスペースをつくれる便利な工夫です。玄関では季節の雑貨を飾り、キッチンでは調味料をまとめ、リビングではリモコンや家族の小物を整理するなど、場所によって役割を変えられます。

ただし、見た目だけで設置場所や大きさを決めてしまうと、使いにくくなったり、掃除の負担が増えたりすることもあります。何を置くのか、誰が使うのか、どの高さなら取り出しやすいのかを考えておくことが大切です。

また、ニッチは壁の内部の構造や配線などにも関係するため、設計士さんと相談しながら計画しましょう。棚の形や仕上げにこだわりたい場合は、壁に合わせてつくる造作家具の考え方も参考になります。

これから家づくりをする人へのアドバイス

ニッチは小さなスペースですが、上手に取り入れると毎日の暮らしをちょっと便利にしてくれます。私がおすすめしたいのは、まず家の中で「ここに物を置けたら便利なのに」「この場所に飾るスペースが欲しいな」と感じる場面を探してみることです。

例えば、帰宅したときに鍵を置く場所が欲しい、キッチンの作業台に物を置きたくない、リビングのリモコンをまとめたいなど、日常の小さな困りごとがニッチの設置場所を考えるヒントになります。

家づくりでは、間取りや大きな収納に目が向きやすいですが、こうした細かな工夫も住み始めてからの満足度につながります。施工例を見たり、設計士さんに相談したりしながら、自分たちの暮らしに合うニッチを考えてみてくださいね。これから家づくりをする皆さんが、毎日を少しでも快適に過ごせる住まいを実現できるよう応援しています。