
目次
ニッチ棚は「とりあえず作る」と失敗しやすい
注文住宅でニッチ棚を採用した方の声を聞くと、満足度が高い一方で「もう少し考えてから作ればよかった」という後悔も一定数あるようです。サイズが合わない、奥行きが深すぎて物が見えにくい、照明を設けなかったため飾り映えしない——こうした問題の多くは、設計段階での検討不足から生じています。
ニッチ棚は壁を掘り込む構造上、完成後の変更が難しい部材です。後から「やはり別の場所に作ればよかった」「形を変えたい」と思っても容易には対応できません。設計段階で目的・場所・サイズ・照明をセットで検討することが、後悔しないニッチ棚づくりの基本になります。
ニッチ棚の「目的」を先に決める
飾る・収納する・機能させる、の3種類がある
ニッチ棚の使い方は大きく3つに分類されます。インテリアとして空間を彩るための「飾り棚」、小物を整理する「収納棚」、スイッチ類やコンセントをまとめる「機能棚」です。
どの目的で設けるかによって、適切なサイズ・奥行き・設置場所が変わります。「飾り棚のつもりで作ったが、結局リモコンや郵便物の一時置き場になってしまった」という声は多いようです。設計段階で「何をここに置くか」を具体的にイメージしてから形を決めることが、完成後の使い勝手を左右します。
形状の選択肢と向いている用途
ニッチ棚の形状は長方形・正方形・円形など複数の選択肢があります。それぞれに向いている用途と設置場所の傾向があるようです。
長方形は縦横のバランスで用途が変わります。横長は複数のアイテムを並べる飾り棚に向いており、縦長は高さのある置物やボトル類の収納に使いやすいとされています。正方形はシンメトリーな印象を与えやすく、リビングのアクセントウォールに採用されるケースが多いようです。円形は個性が出やすく、玄関や廊下の壁面に設けた事例で「他の家にはないデザインになった」という声が聞かれます。
奥行きの設定が飾り映えを決める
浅めの奥行きが「見せる棚」には適している
ニッチ棚の設計で最も影響が大きい要素の一つが奥行きです。奥行きが深すぎると、置いたものが壁の奥に引っ込みすぎて見えにくくなります。また、奥行きが余った部分に影が入り、飾ったものの印象が損なわれるという問題も生じやすいようです。
飾り棚として使う場合、奥行きは10〜15cm程度を目安にしている設計事例が多いようです。ただし、置くものが決まっている場合はそのサイズに合わせた奥行きを設定することが優先されます。「飾りたい置物の奥行きを測ってからニッチのサイズを決めた」という事例では、完成後の満足度が高い傾向があるようです。
収納用途では奥行きを深めに設定するケースも
収納目的のニッチ棚では、奥行きを20〜30cm程度に設定するケースもあります。洗面室のタオル収納・トイレの小物収納・キッチンのスパイス類収納など、使う場所に合わせた奥行きの設定が求められます。
収納棚として使う場合、奥行きが深くなる分、棚の中が暗くなりやすいという問題が生じます。この場合にも照明を設けることで視認性が上がり、取り出しやすさが改善されるという事例があるようです。
照明の活用でニッチ棚の印象が大きく変わる
照明なしと照明ありでは「別物」になる
ニッチ棚に照明を設けることで、飾ったものの見え方が大きく変わるという報告が多いようです。昼間は自然光で十分でも、夜間や曇りの日には照明がなければニッチ棚の存在感がほとんどなくなるというケースもあります。
「照明をつけた途端、ニッチ棚がインテリアの主役になった」という声がある一方、「後からライトを追加しようとしたが配線工事が必要で費用がかかった」という声もあります。照明の有無は設計段階で決めておかないと、後から追加するコストが上がります。
光の種類と色温度が雰囲気を変える
ニッチ棚の照明として使われることが多いのが、LEDテープライトとスポットライトの2種類です。LEDテープライトは棚の上部や側面に沿わせることで間接照明的な効果が生まれ、空間全体の雰囲気を柔らかくする効果があるようです。スポットライトは飾るものを直接照らすため、アート作品や植物など特定のアイテムを際立たせたい場合に向いています。
光の色温度も印象に影響します。電球色(2700K前後)は温かみのある雰囲気を演出しやすく、昼白色(5000K前後)はすっきりとした印象になります。リビングや寝室など、空間の雰囲気に合わせた色温度を選ぶことが、インテリアとしての完成度を高めるうえで重要なようです。
設置場所によって効果と注意点が変わる
場所ごとの特性を把握しておく
ニッチ棚の設置場所として多いのが、玄関・リビング・廊下・洗面室・トイレです。それぞれに向いている用途と注意点があるようです。
玄関は来客が最初に目にする場所であるため、季節のインテリアや植物を飾る飾り棚として採用される事例が多いようです。リビングはテレビ背面やソファ背面の壁面が選ばれやすく、照明と組み合わせたアクセントウォールとして機能する事例が見られます。洗面室やトイレは収納機能を持たせるケースが多く、使用頻度の高い小物を取り出しやすい高さに設定することが重要とされています。
構造壁への設置は事前確認が必要
ニッチ棚は壁を掘り込む構造のため、設置できる壁と設置できない壁があります。構造上の耐力壁や、配管・配線が通っている壁への設置は難しいケースがほとんどです。「この場所に作りたい」と決めた後で構造上の問題が発覚するケースもあるため、設置場所の希望は設計の早い段階で設計士に伝えることが重要です。注文住宅でニッチ棚の採用を検討している方は、設置場所・サイズ・照明計画をまとめて工務店に相談することをおすすめします。