
目次
ニッチ棚は「目的なし」で作ると後悔しやすい
注文住宅でニッチ棚を採用した方の声を聞くと、事前の計画が具体的だったかどうかで満足度に大きな差が出るようです。「何となくおしゃれに見えたから作った」というケースでは、完成後に「結局何も飾らずに空のままになっている」「奥行きが合わなくて置きたいものが入らなかった」という問題が生じやすいようです。
ニッチ棚は壁を掘り込む構造のため、完成後の変更が難しい部材です。設置場所・サイズ・奥行き・照明の有無を設計段階でセットに決めることが、後悔を防ぐ出発点になります。何を飾るか・何を置くかという目的を最初に整理することが、ニッチ棚設計のすべての基準になります。
目的によって設計が変わる
飾るものを先に決めるとサイズが逆算できる
ニッチ棚の設計で満足度が高い事例の共通点は、飾るものや置くものを先に決めてからサイズを決めているという点です。コレクションを飾る・観葉植物を置く・アート作品を際立たせる・実用小物を収納するといった用途ごとに、必要な奥行き・高さ・幅が変わります。
「飾りたい置物のサイズを計測してからニッチの寸法を設計士と詰めた」という事例では、完成後に「ぴったりのサイズになった」という声が聞かれます。一方で「とりあえず標準的なサイズにした」というケースでは、置きたいものが収まらなかったり、スペースが余って間延びした印象になったりという問題が出やすいようです。
実用収納として使う場合の設計基準
飾り棚としてではなく、実用的な収納として使う場合は、使用頻度と取り出しやすさが設計の基準になります。洗面室の化粧品・トイレットペーパー・玄関の鍵や印鑑類といった用途では、手が届きやすい高さへの設置と適切な奥行きの確保が重要とされています。
使用頻度の高いものを収納するニッチ棚は、目線より少し低い位置から目線の高さまでが使いやすいとされています。収納するものの寸法を事前に確認し、取り出す動作を設計段階でシミュレーションしておくことが、実用性の高いニッチ棚を作るうえで有効なようです。
奥行きと高さの設定
奥行きが深すぎると「見えない棚」になる
ニッチ棚の奥行きは、飾り棚として使う場合と収納棚として使う場合で適切な数値が異なります。飾り棚として使う場合、一般的に推奨されるのは10〜15cm程度の浅めの奥行きです。
奥行きが深すぎると置いたものが壁の奥に沈み込んで見えにくくなること、余った奥行き部分に影が入って飾り映えが低下することの2点が問題として挙げられます。「15cmにしたら飾ったものがちょうど手前に来て見やすくなった」という声がある一方、「20cm以上にしたら奥が暗くなってしまった」という声も聞かれます。
高さの設定は「視線」と「用途」で決まる
ニッチ棚の高さは、設置する場所と用途によって最適値が異なります。飾り棚として視覚的な効果を狙う場合は、立った状態で自然に視線が向く高さ(目線よりやや低い150〜160cm程度)への設置が効果的とされています。
子どものいる家庭では、子どもの手が届く高さに設置すると飾ったものに触れられてしまうという問題が生じやすいようです。子どもが小さい時期を考慮して、手が届きにくい高さに設定するという判断をした事例も多いようです。高さの設定は家族構成と将来的な変化も含めて検討することが望ましいでしょう。
照明の設計でニッチ棚の完成度が変わる
照明なしでは「昼間しか映えない棚」になりやすい
ニッチ棚に照明を設けることの効果について、採用した方からは「夜になるとニッチ棚がインテリアの主役になった」という声が多く聞かれます。自然光が入る昼間は照明がなくても十分に見えますが、夕方以降は照明がなければニッチ棚の存在感が薄れるという傾向があるようです。
照明を後から追加しようとすると配線工事が必要になるため、採用する可能性が少しでもあれば設計段階で配線だけ仕込んでおくという対応が有効です。「照明が必要かどうか迷ったが、配線だけ入れておいたことで後から照明を追加できた」という事例も聞かれます。
光の方向で飾るものの見え方が変わる
ニッチ棚の照明は、設置する方向によって飾るものの印象が大きく変わります。上部から照らすダウンライト型は、置物や植物の上面が明るくなり立体感が強調されやすいとされています。後部に設けるバックライト型は、飾るものがシルエットとして際立つ演出効果があり、アート作品やオブジェに向いているようです。
LEDテープライトを棚の側面や上部に沿わせる間接照明型は、棚全体をふんわりと照らす効果があり、リビングや寝室の落ち着いた雰囲気に合わせやすいとされています。どの照明方式が適しているかは、飾るものの素材・色・サイズによっても変わるため、具体的なアイテムを想定してから照明方向を決めることが望ましいようです。
ニッチ棚は「一か所だけ」から始めると失敗しにくい
注文住宅でニッチ棚を複数設ける場合、すべてを同じ仕様にするよりも用途・場所・サイズを変えることで空間にリズムが生まれるという設計事例が多いようです。一方で、設置数を増やすほど設計の複雑さが増し、完成後に「多すぎた」という声も聞かれます。
初めてニッチ棚を採用する方の場合、まず一か所に絞って目的・サイズ・照明を十分に検討することが、後悔を減らすうえで現実的なアプローチとされています。注文住宅でのニッチ棚の設計については、インテリア提案の実績が豊富な工務店に相談することをおすすめします。